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音高のコントロール筋のリハビリ |
音高を変える声帯のしくみは、「序」においてご紹介した通りです。
過去に、「声はどのようにして音高を変えるのか」に関して、管楽器のように喉の上部の空間の長さを変えることで音高を変えるとか、声帯の張力によって音高を変えるとか、いろいろな説が唱えられたのですが、フースラーは、これらの奇妙な説を払拭してくれたわけです。
ただ、それ以上のことはフースラーの研究でもまだ解明されていません。
たとえば、交錯筋は声帯靭帯をいくつに等分しているのか、あるいは、どのようにして一部分を振動させないようにしているのか、振動部分を短くするのは常に声門の前後から等しく中央に向かって行われるのか・・・など、未知の部分は残されています。いつか解剖生理学が更に進んですべてのことが解明される日がくるのでしょうか。
交錯筋が声帯靭帯をを等分割しているとしても、当然ながら十二平均律にはなっていないはずです。
しかし、交錯筋は微妙なピッチの差を簡単に修正できる能力を備えています。
音楽は人間によって作られた文化ですから、音楽を歌唱するには、交錯筋を音楽の規定に合わせて働かせ得るよう訓練されなければなりません。
音程の安定しない人は、交錯筋の声帯縁辺が十分に目覚めていないか、筋力がまだ弱いかです。
交錯筋の声帯縁辺のリハビリは、声を当てる練習の「歯先に当てる」によって行うことができます。
一般的な発声練習でいわれる、口の前の方で歌う練習が、これと同じ意味合いです。
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ファルセットでは、声唇は参加しないという説明ですが、厳密には、音高をコントロールする交錯筋の先端は参加していることになります。 |
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