喉頭懸垂筋 |
しっかりした歌声には声帯を引き伸ばす輪状-甲状筋と後筋の緊張が不可欠なのですが、それらの筋力だけでは発声器官の真の実力を発揮させることはできません。
ここに挙げる喉頭懸垂筋の活躍があってはじめて発声器官の高度な能力は発揮されます。 |
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喉頭は左右1対のいくつかの筋肉によって喉の中央に支えられています。
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引き上げ筋
@甲状軟骨と舌骨を結ぶ甲状-下骨筋
A軟口蓋と喉頭を結ぶ口蓋-喉頭筋
B耳の後方辺りにある頭蓋底の茎状突起と甲状軟骨後部をを結ぶ茎状-咽頭筋
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引き下げ筋
C胸骨と甲状軟骨を結ぶ胸骨-甲状筋
D輪状軟骨の後ろ下部の両側面から出て食道を取り囲み、脊柱の前面に付いている輪状-咽頭筋 |
喉頭懸垂筋(引き上げ筋と引き下げ筋)が活発なら、発声の際、反射的に上下4方向に互いに連携して引き合って喉頭を力強く支え、声帯の自由な運動を確保すると同時に、発声に必要な呼吸器官の筋肉をも誘発してくれます。
すなわち生き生きした歌声は、活発な喉頭懸垂筋にかかっているといえます。
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現代人においてはこれら喉頭懸垂の衰弱が特に激しいとフースラーは指摘しています。
喉頭懸垂筋の一部は現代の日常生活でほとんど必要とされないことが衰弱の原因です。
たとえばD輪状-咽頭筋は、他の懸垂筋に比べて力の弱い筋肉ですが、歌声にとっては最も重要な懸垂筋です。ところがこの筋肉は日常の話声の発声にもほとんど使われませんので、より弱くなっているのです。
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参考・引用文献
うたうこと フレデリック・フースラー 著
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