声帯の協力筋 |
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弦や膜状の振動体がよい音を出すには、ある程度以上の張力が必要です。
振動体が弛むと振動は起き難くなり、不規則な振動も混ざってきます。
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声の振動体となる声帯靭帯は自力では伸びることができません。
膜をぴんと張るには、声帯全体を前後から引っ張る別の力が必要になります。
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輪状-甲状筋(前方伸展筋) |
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輪状-甲状筋を緊張させると甲状軟骨が傾き、声帯を前方へ引き伸ばします。
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後筋(ッ後方伸展筋)
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声帯の後部は一対の披裂軟骨に固定されています。披裂軟骨には後筋と呼ばれる筋肉が付いて、この筋肉が緊張すると声帯を後方へ引き伸ばします。
ただ、後筋が声帯を後方へ引っ張ると必然的に声門は大きく開く結果になります。
後筋の第一任務は息を吸い込むために声門を広げることだからです。
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側筋と横筋(閉鎖筋)
声門は閉じられるほど振動の効率が上がり、充実した音になります。
声門を閉じるために、披裂軟骨には側筋と横筋が別に備わっています。 |
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側筋が収縮すると、披裂軟骨は内に回転して声門が閉じられます。
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更に横筋も収縮すると声門はほぼ完全に閉じられます。
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縁辺筋
側筋と横筋の協力で声門はほぼ閉じられますが、物理的に中央には僅かな隙間が残ります。この状態でも歌声はかなり前に出てきますが、歌声の密度においては物足りなさが残ります。
ここに登場するのが、交錯筋の声帯靭帯に達する部分(縁辺筋)の働きです。 |
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縁辺筋は音高を自由に変えるだけではなく、最終的に声門のとじ方を微調節して倍音をコントロールすることもできる最高度の能力を持つ筋といえます。
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参考・引用文献
うたうこと フレデリック・フースラー 著
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