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吟剣詩舞とは

吟剣詩舞は「ぎんけんしぶ」と読みます。
吟(ぎん)は吟詠(ぎんえい)、または詩吟(しぎん)の略称です。
剣詩舞(けんしぶ)は、剣舞(けんぶ)と詩舞(しぶ)の総称です。

吟詠・剣舞・詩舞を日本の伝統芸能の一分野として確立し発展させたいという目標の下、昭和43年に全国の流派が連盟を結成して以来、三つを総称して「吟剣詩舞」と呼ぶようになりました。


吟詠について

吟詠は詩吟ともいい、漢詩や和歌などに節(旋律)をつけて歌います。
吟詠では歌うことを「吟じる」といいます。
和歌を吟じる場合には朗詠(ろうえい)と言われることもあります。


吟詠の発祥についてはいくつか説がありますが、現代全国的に普及している吟詠は江戸末期〜明治初期に始まり、大正・昭和の間に今日のような形になったといわれます。

吟詠の題材には、中国の古い漢詩から日本の漢詩(和漢詩)まで含まれます。また和歌・俳句・新体詩、あるいは現代創作詩なども題材になります。一人で吟じることを「独吟」(どくぎん)、二人以上で交替しながら吟じることを「連吟」(れんぎん)、斉唱することを「合吟」といいます。



吟詠の音階 

吟詠に用いられる音階は五音階です。
日本における五音階は民間から自然発生した俗音階で、いくつかの種類があります。
俗音階は理論的に完成された音階ではないので、解釈は一様ではありません。

現代の吟詠では、漢詩や和歌などを吟じる場合には陰音階(都節音階)、俳句の場合には陽音階(民謡音階)が一般的に用いられています。
陰音階は、ドレミでいえば「ミ・ファ・ラ・シ・ド」に聞こえ、古曲「さくらさくら」などと同じ音階です。
陽音階は「ミ・ソ・ラ・シ・レ」に聞こえ、民謡などでよく使われる音階です。



吟詠の旋律

吟詠の旋律は、一般的な歌のメロディーように、曲によって大きく異なるというものではありません。たぶん、はじめて聴くと、吟じる詩が替わっても同じようなメロディーに聴こえるでしょう。
このことは、吟詠が当初、音楽的行為としてではなく、漢詩を学んだり味わったりする文学的な行為として発祥したことに理由があると考えられます。
その後、吟詠が音楽として発展して行くに伴い、新しい旋律も作曲されるようになっていますが、吟詠をしている人々には、やはり昔ながらの旋律が好まれています。



吟詠の発声
吟詠の発声は、民謡と謡の中間的な響きがします。つまり、言語的響きは鮮明ですが、声質は民謡より重厚な響きが求められます。おそらく吟詠発祥当時の武士や儒学者たちが漢詩を朗読する際の日本語の発音が吟声の基本になっているのではないかと思います。
全体的にフォルテで歌われます。



吟詠の伴奏

吟詠は元来無伴奏で吟じられてきました。
このことも吟詠の発祥に由来するわけですが、吟詠が音楽として意識され、発展するに伴い、必然的に楽器が求められるようになり、尺八や筝あるいは琵琶などの邦楽器による伴奏が付くようになりました。
今日では多彩な楽器(洋楽器も含む)、あるいはシンセサイザーなども使用されるようになっています。

剣舞(けんぶ) 剣舞(しぶ)

剣舞

剣舞は、吟詠に合わせて、詩の内容を舞で表現します。
主に日本刀を用いて舞うのですが、剣舞の発祥が武道であるため、舞の中の刀法が居合や古武術に従っているのが特徴です。
昔は真剣を使うこともありましたが、現在は模擬刀を使用します。
模擬刀は居合刀ともいい、刃金こそ入っていませんが、真剣と同じ造り、同じ重量があります。
アルミ製の軽い模擬刀もあります。

 
 
少し前までは、襷・鉢巻というスタイルが普通でした。
もう少し前は、剣道着スタイルでした。

最近では、襷・鉢巻を付けない剣舞も多くなりました。
また剣舞に舞扇を用いることも一般的になりました。

古武道(古武術・居合)

剣舞においては剣舞の源である日本武術の鍛錬も重要視されます。訓練する武術の流儀は剣舞流派によって様々で、私が神武館道場で習ったのは香取神道流とういう流儀の武術です。

詩舞

詩舞は剣舞から派生した舞で、刀の代わりに主に扇を用いて舞います。
剣舞と比べ、柔らかな振りが特徴です。
詩舞や剣舞に用いる扇は「舞扇」と呼ばれる種類のものです。

   
 
詩舞 祇園精舎
 薙刀を用いている場面

詩舞でも刀・槍・薙刀などを
使用することがあります。

群舞
(ぐんぶ)

剣舞でも詩舞でも、三人以上のグループで舞うものを群舞と呼んでいます。