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手記

 
   マイナーな話
  芸能全般から見ると、吟剣詩舞はマイナーだと感じている人は多いですね。
メジャーとマイナーの境界線がどこなのかは分かりませんが、マスコミに取り上げられるがどうかが一般感覚的な基準になっていることは確かでしょう。
「芸の勉強も、経験もなく、さほど才能もない若者が、TVに出演しただけでメジャーになるんだから、やってられないよ」と、ベテランさんたちがボヤキたくなる気持ちも分かります。

メジャーというのは、要するに知名度ですから、マスコミの情報発信力に敵うものはないです。良い芝居が噂にのぼり、口伝えで各地に広がって行くのを待つしかなかった時代からは嘘のような話です。
そんな時代にも宣伝マンみたいな役回りがあって、各地を旅して噂を広めたりはしていたでしょうが、今となっては気の長い話です。

私自信はマイナーという響きは嫌いではないですね。負け惜しみではなく、(ちょっとは負け惜しみもあるかも?)マイナーにはマイナーの長所があると思うのです。
一端メジャーになると、その位置を持続させなければならないという重圧がすごいと思いますよ。
マスコミに押されて、名前や噂が自分自信を負い越してメジャー入りしてしまった人は悲惨でしょうね。
ちょとグズグズしているとブーイングです。ブーイングもまたマスコミに乗っかってきますから、ものすごいでしょう。
気が付けば、ただ人気を維持することだけが目標になっていまっている・・・。
そして、マスコミから少しでも遠ざかると「落ちた」と言われる。
そういう人は結構多いと思いますね。

その点マイナーは気楽で、いい世界だと思います。
やりたい事を自由に出来るのは、マイナー世界の特権でしょう。
好きなだけ勉強は出来るし、実験もできるし、一歩づつ自分の足でメージャーを目指している時が、実は一番豊かな時期なのかも知れません。
下積みを経て登って来た役者さんたちが、そろって下積みの頃が一番楽しかったと言うのも分かるような気がします。
もっと言えば、本当に好きな事は趣味にしておくべきなのかも知れません。
大分前のことですが、森重久弥さんの講演で、「飛行機の中で見知らぬ男性に、よー同級だった○○だよ、お前有名になって貧乏になったなあ・・・と、声を掛けられた。失敬な奴だと思いながらも話を聞くと、自由がなくなって気の毒だという意味だと分かり、よく考えてみるとなるほどと反省させられた。・・・・」という内容の話をされたのを思い出します。

最近ではマイナー世界が見直されるような現象も多々あります。
「村おこし」もその一つだと思います。
都心にあるものだけが文化ではない、地方には都心では望めない魅力的な文化がたくさんあるということに気付きはじめたのかも知れません。

ああ、インターネットもそうですね。
もしHPがメジャーになったら、一言一句気を付けねばならなくなるでしょうね。書きたくても書けないことも・・・とにかく気を使うことばかり増えて大変になるでしょう。
HPもマイナーの内が花といえそうです。