作:田辺聖子・脚本:内田昌夫・演出:夏目俊二 | ||||
平成14年6月5〜6日 神戸松方ホールホワイエ | ||||
オープニング |
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富姫 |
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亀姫 |
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まり唄 Voval:スウィートシンガーあい |
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今回の劇団神戸公演「天守物語:泉鏡花作」は、夏目俊二氏の神戸市文化賞受賞記念公演として、劇団には馴染み深い神戸元町風月堂ホールで行われました。 天守物語は霊界と肉界が交錯する天守の五重が舞台となる奇怪にして美しいロマンスです。 音楽も彼の世と此の世をさ迷い往き来するようなイメージに・・・と考えたわけですが、実際に掛かってみると予想以上に難しい部分がありました。 霊的な音はシンセの得意とするところなのですが、この物語に適した音はなかなか見つかりません。いわゆる幽霊、オカルト、SF的な音はたくさんありますが、そういう音では面白くも何ともありません。 この物語に登場する霊たちは、けっこう肉質的、煩悩的、現世的であり、逆に観念に縛られた武士たちの方が空ろに見えてきます。 物語は風刺的に描かれていますが、音の上では、風刺的ではなく、何か逆転的な錯覚を作れないものかと思いました。 演出からは邦楽器音を使ってほしいとの依頼がありましたので、結論的に、存在感の強い邦楽器音をむしろ霊たちに用い、現世の武士たちには用いないことにしました。そしてシンセの音は霊界と肉界が交差する空間の中の蜃気楼のように使うことにしました。 |
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