本文へスキップ

吟詠と音楽

いろいろな記譜法 五線譜は万能ではない 五線とト音記号 音名 音符と記号

 五線譜は万能ではない
五線記譜法の限界
初めて吟詠伴奏を手がけた時、私は五線記譜法しか知りませんでしたので、当然ながら五線譜で書いていました。
しかし、やりはじめてすぐに、吟詠のように音符で割り切れない旋律には五線記譜法は無力に近いと実感しました。
そこで、吟の節は波グラフ式に書き、伴奏部分は従来の音符を使うという方法をとりました。
 
ただ、そのようにしても、伴奏部分の楽譜は、変拍子(曲の途中で何度も拍子が変わる)の連続で、フェルマータ(適当に長く伸ばす記号)がやたらと多い、現実には私にしか分らない楽譜になってしまいます。
結果的に、誰が読んでも同じように理解できる(五線譜のように)吟詠用の記譜法は諦めざるを得ませんでした。
 それでも五線記譜法は必要か?
五線譜は音楽の標準的記譜法として世界的に使用されています。
好む好まないにかかわらず、この意味は非常に大きいです。
五線譜を使用すれば、ジャンルや言語の壁を越えて音楽の内容を伝達することができるからです。
吟詠の譜を一般の人が見ても、どんな旋律なのか見当もつきませんが、それを五線譜で表すと、日本だけではなく世界中の多くの人々が音の流れを何となく読めるようになります。
洋楽しか知らない若者が吟詠に近付きやすくなるかも知れません。
逆に、吟詠をされる方でも、五線譜が読めると他の多くの音楽ジャンルとの交流がより簡単になるでしょう。
吟詠において絶対的な高さを示すのは本数しかありません。
たとえば「f2」という高さを、吟詠的に言うと「21本」とか「9本の12律上」という言い方になります。
皆さんは慣れておられるでしょうが、私には「21本」と言われてもピンときません。
五線記譜法ならト音記号譜の一番上の線上に音符を記するか、あるいは「f2」と書けば済みます。
記譜法とか、用語は、伝達の手段ですから、できるだけ短く、しかし正確に伝わる方法がベストです。
その意味では、洋楽楽典は合理的に出来ており、利用価値は多いにあると思います。