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吟詠と音楽

吟詠カラオケの使い方 その1

 
 既成の吟詠カラオケ
吟詠の節回しやタイムは流派によっても、また詩によっても若干の違いがあります。
既成の吟詠カラオケは、なるべく平均値に近いものにすべく作らせていただいているつもりです。(特殊な節調まではカバーできませんが)

既成吟詠カラオケで吟じる練習の第一の目的は合奏能力を養うことにあります。合奏能力とは他の演奏と一緒に演奏できる能力のことです。
(合奏とは通常は楽器による演奏をいいますが、ここでは吟者にも楽器奏者にも共通して必要な音楽的協調能力を指して合奏能力という言葉を使っています。)
歌謡曲のように一定の拍子を持つものであればカラオケを聴き流しながらでも歌えますが、自由リズムに対応する吟詠カラオケは、聴き逃すと伴奏がどこを進んでいるのか分からなくなってしまいます。
絶句用伴奏曲を使って合奏能力を高める
既成伴奏曲集のCDなどには各伴奏曲の前奏タイム・吟詠タイム・後奏タイムなどが記されていると思います。

絶句の伴奏曲は標準的には次のような構成になっています。

漢詩絶句は起句・承句・転句・結句の四句で構成されています。
伴奏も漢詩の構成に合わせて起句音楽・承句音楽・転句音楽・結句音楽という風に30秒前後の4つの楽句が繋がって出来ているものが多いです。
はじめに前奏を確認します。分かり難い時は説明書の前奏タイムを参考にして聴き取ってください。
前奏の終わりは、基本的には本数(主音)の高さでおさまり、吟じ始めを知らせる合図のような音が入ることも多いです。

前奏が終わって吟じはじめるタイミング(間)は、前奏の雰囲気と詩の始まりの内容によって自ずと決まってくるでしょう。
次の内容に関係することですが、たとえば吟の前半がどうしても伴奏より長くなる場合には前奏終わりに被るように吟じ始めるなども策としてはあり得るでしょう。逆に短くなる場合には大きく一呼吸置いて吟じはじめることも可能でしょう。
もちろんどちらにしても限度はありますので、そこは感性で判断してください。
次に、伴奏の承句の終わり(転句に移る部分)を見つけます。

分かり難い時には吟じ始めから55秒前後を目安にタイムを測りながら伴奏を聴いてください。伴奏が承句の終わりらしく落ち着く部分が確認できると思います。曲によっては承句から転句へ移る合図のような音が入ることもあります。


転句以降のポイントは吟の終わりになるでしょう。
吟が終わる時の伴奏がそれらしい音になるのがベストです。吟終わりの主音の長さや切り方は、伴奏との調和を完成させる最後のポイントになります。
吟終わりの声を伴奏のどの音で切れば効果的かを、吟じながら決断できるようになれば合奏能力はすばらしく上達したといえます。
既成の伴奏曲は吟詠タイムに幅を持たせてあります。
たとえば、転句に移る合図のような音も、必ずしも転句の直前にくるように吟じなければならない訳ではありません。
要は、吟詠の節回しと伴奏の流れ方が噛み合うことで音楽的調和が生まれれば良いわけです。
 絶句伴奏曲の合せ方例 ※ブラウザーがchromeの場合にはプレイヤーの進行状況が表示されません
 吟詠カラオケ「燦燦 かがやき」10番8本 前奏約16秒/吟詠タイム約1分57秒/後奏約13秒
    
  
この伴奏は吟詠タイム約1分57秒となっていますが、
この通りに吟じないと合わないという訳ではありません。
この伴奏は吟詠タイムが異なっても吟詠可能なアレンジにしてあります。
 吟詠タイム1分45秒の場合の合わせ方例 ※ブラウザーがchromeの場合にはプレイヤーの進行状況が表示されません
   
  

 吟の声量を下げて伴奏と合わせる練習をする
伴奏がはっきり聴き取れるように、吟じる声量を下げて伴奏に合わせる練習をします。
伴奏のどの部分に吟のどの節を当てればよいかを決める練習です。吟の声量を下げても吟じる間(ま)や感覚は本気で行ってください。
音楽の流れ方・移り方などを聴きながら吟じる能力を養うことを目標に練習してください。

既成の伴奏曲では、曲は気に入ってもタイムが自分の望むタイムでないこともあると思います。そのような場合も、吟の節と伴奏の流れの雰囲気が合えば問題ありませんので、いろいろ試してみて、自分が納得する合わせ方を決めていただいて結構かと思います。起承転結各句でポイントにする伴奏の音型や音色や合図的な音などを選んで決めておくと良いでしょう。

本気の声量で吟じる練習の時は当然伴奏の音は聴こえづらくなりますので、伴奏の音量を上げる必要があります。